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スレート波板

解説

今回の試料は、1980年代後半の鉄骨造の屋根材として使用されていたスレート波板で、表面に塗装はされていませんでした。

スレート波板は、セメントを主原料とし、繊維質の材料で補強した波形の建材です。耐久性や耐火性に優れ、比較的安価で施工しやすいことから、工場や倉庫、畜舎、車庫などの屋根材や外壁材として広く使用されてきました。
大波のスレート波板は屋根材、小波のスレート波板は壁材に使用されることが多いです。
スレート波板には、強度や耐久性を高める目的でアスベストが使用されており、主にクリソタイルが含まれています。
また、製品によってはアモサイトやクロシドライトが使用された例もあります。
屋根や外壁などの屋外に使用されることが多いため、長期間にわたる風雨や紫外線の影響によって表面のセメント成分が劣化し、アスベスト繊維が露出しているケースが多いです。
古い建築物では、補修や改修によってアスベスト含有製品と非含有製品が混在している場合があります。
そのため、事前調査では改修履歴や施工状況を確認し、調査対象を適切に区分したうえで、代表性のある試料を採取することが重要です。
石綿含有スレート波板は、レベル3の石綿含有成形板等に分類され、通常の使用状態では比較的アスベストが飛散しにくいです。
ただ、経年劣化によって表面のアスベスト繊維が露出している場合には、風雨によって繊維や建材片が流出し、屋根からの雨水が集まる排水溝などにアスベスト繊維が含まれる事例が報告されています。
また、施設の維持管理を目的として石綿含有スレート波板の塗り替え工事を行う際にも、高圧洗浄で、劣化した建材表面からアスベストを含む繊維が剥離し、洗浄水とともに周囲へ飛散・流出するおそれがあり注意が必要です。
そのため、粉じんの飛散防止に加え、洗浄水や剥離物の流出防止、回収した廃棄物や排水の適切な処理が重要です。

施工箇所例

屋根・外壁

主な用途

外装材

使用時期

1917年-2004年頃

代表的な商品名

浅野大波スレート・ノザワ大波・東京大波板・ウベ小波スレート

報告システム上の名称

スレート波板

分析内容

今回の試料は、風雨に晒されていたため、スレート表面に石綿繊維と考えられる繊維が確認されました。
分析では、有機成分を除去するために灰化処理を行い、さらにセメント系結合剤などの酸可溶成分を塩酸処理によって除去したうえで、偏光顕微鏡による観察を行いました。
偏光顕微鏡観察では、クリソタイルに特徴的な波状の繊維形態が確認されました。
屈折率1.550の浸液を用いた分散染色観察では、繊維の長軸方向に直交する方向(⊥)で青色、平行な方向(∥)で赤紫色の分散色を示しました。
さらに、クロスポーラによる観察では複屈折と直消光が認められ、鋭敏色検板を用いた観察では伸長の符号が正であることも確認されました。
これらの繊維形態と光学的性質、顕微鏡下でのアスベスト繊維の割合を総合的に評価し、クリソタイルが5~50%の範囲で含有すると判定しました。
今回の試料では、特に表面部分において、一般的なクリソタイルとは異なり、分散色が明瞭に確認できない繊維が観察されました。
アスベスト分析では、繊維の形態や光学的性質だけでなく、建材の種類や試料の状態なども踏まえて総合的に判断します。
また、小田原鉱石では、アスベスト除去工事などで発生する排水中のアスベスト分析にも対応しています。
石綿含有スレート波板などの屋根材・外壁材の塗り替え工事に伴う洗浄排水についても分析を承っておりますので、お気軽にご相談ください。

クリソタイル:分散色 青(⊥,1.550)

クリソタイル:分散色 青(⊥,1.550)

クリソタイル:分散色 赤紫(∥,1.550)

クリソタイル:分散色 赤紫(∥,1.550)

クリソタイル:クロスポーラ 複屈折有・直消光

クリソタイル:クロスポーラ 複屈折有・直消光

クリソタイル:鋭敏色検板 伸長の符号が正

クリソタイル:鋭敏色検板 伸長の符号が正

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