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ロックウール吸音天井板

解説

今回の試料は、昭和60年(1985年)頃に学校の教室の天井に施工された岩綿吸音板(ロックウール吸音天井板)です。
写真下部のように石膏ボードが下地材として捨て貼り施工されていました。

岩綿吸音板(ロックウール吸音天井板)は、ロックウールを主原料とする板状の内装材で、事務所、学校、病院、店舗、公共施設などの天井仕上げ材として広く使用されてきました。
ロックウールは工業的に製造された人造鉱物繊維で、アスベストとは異なる材料です。
岩綿吸音板の中には、補強材などとしてクリソタイルを数%配合した製品があります。
岩綿吸音板は吸音性や不燃性に優れ、室内の音の反響を抑える役割があります。
表面に不規則な穴や溝を設けた「トラバーチン模様」の天井材が代表的で、設計図書には「岩綿吸音板」「ロックウール吸音板」「化粧吸音板」などと記載されている場合があります。
施工方法としては、今回のような石膏ボードなどを下地材として張り、その表面に岩綿吸音板を施工する方法があります。
石膏ボードを下地に使用することで、天井全体の強度や遮音性能が向上します。
岩綿吸音板だけではなく、下地材の石膏ボード。石膏ボードの継ぎ目を埋めるパテにアスベストを含むことがあるので別々に分析する必要があります。
また、天井材は雨漏りによる損傷や改修工事などによって部分的に張り替えられることがあり、同じ室内でも新旧の建材が混在している場合があります。
そのため、事前調査では改修履歴や現場の施工状況を確認し、建材の違いを適切に把握したうえで、代表性のある試料を採取することが重要です。

施工箇所例

天井

主な用途

内装材

使用時期

1964年-1980年代

代表的な商品名

ソーラートン・ミネラートン・ダイロートン・リブ

報告システム上の名称

ロックウール吸音天井板

分析内容

今回の試料は、肉眼観察だけではアスベストの含有を判断することが出来ない試料でした。

分析では、岩綿吸音板と下地石膏ボードを分けて分取し、それぞれ有機成分を除去するために灰化処理を行い、さらに比較的酸に溶解しやすいロックウールなどの成分を塩酸処理によって減少させたうえで、偏光顕微鏡による観察を実施しました。
偏光顕微鏡観察では、岩綿吸音板からクリソタイルに特徴的な細く湾曲した波状の繊維形態が確認されました。
屈折率1.550の浸液を用いた分散染色観察では、分散色はやや不明瞭でしたが、繊維の長軸方向に直交する方向(⊥)で青色、平行な方向(∥)で赤紫色の分散色が確認されました。
さらに、クロスポーラによる観察では複屈折と直消光が認められ、鋭敏色検板を用いた観察では伸長の符号が正であることも確認されました。
一方、主成分のロックウールは非晶質の人造鉱物繊維で、顕微鏡下ではアスベストより太く(約3~5μm)ばらつきのある繊維として観察されます。
また、ロックウールは光学的等方体で、複屈折を示さないため、光学的異方体のアスベストとはクロスポーラ観察でも識別できます。
これらの繊維形態と光学的性質を総合的に評価した結果、岩綿吸音板にはクリソタイルが0.1~5%の範囲で含有すると判定しました。
下地材の石膏ボードからアスベストは検出されませんでした。
今回のように、建材の中に少量のアスベスト繊維が混在する場合には、試料の性状に応じた適切な前処理を行い、繊維の形態や光学的性質を丁寧に確認することが重要です。
また、岩綿吸音板が石膏ボードなどの下地材と組み合わせて施工されている場合には、各材料を区別し、それぞれの石綿含有状況を確認する必要があります。
アスベスト分析では、アスベストだけでなく、ロックウールなどの非石綿繊維の特徴を理解することも重要です。
建材の種類や試料の構成なども踏まえて総合的に判断するため、正確な分析には、建材や施工方法に関する知識も求められます。

クリソタイル:分散色 青(⊥,1.550)

クリソタイル:分散色 青(⊥,1.550)

クリソタイル:分散色 赤紫(∥,1.550)

クリソタイル:分散色 赤紫(∥,1.550)

クリソタイル:クロスポーラ 複屈折有・直消光、ロックウール:複屈折無

クリソタイル:クロスポーラ 複屈折有・直消光、ロックウール:複屈折無

クリソタイル:鋭敏色検板 伸長の符号が正

クリソタイル:鋭敏色検板 伸長の符号が正

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